- <遺産を巡るトラブル>中田利通

遺産分割〜弁護士へ依頼した方がよいケース

遺産相続には、単純なケースと複雑なケースがあり、後者の場合は、弁護士を 代理人とする方が良い場合があります。以下主なケースです

@ 預貯金の勝手な引出や使途不明金 
  この争いはよくありますが、調停を出せば裁判所が調べてくれる・・ということはありません。また裁判所が調停・審判で扱うのは「存在に争いのない預貯金など」「現に残っている預貯金」です。 
 一部の相続人が勝手に引出た分は、相手方が認めない限り、別途、不当利得・損害賠償として訴訟で返還を求めることになります。

A 生前に被相続人から受けた援助や遺産を無償で使用して得た利益(特別受益)
  俗に「生前贈与」と言われ、遺産の前渡しとして、その分を残った遺産分割の際に差し引く制度です。
  全ての贈与が含まれるのではなく「生計の資本としての贈与」などに限定されます。特別受益は10年、20年前の分も含まれますが、証拠により立証する必要があります。

B 被相続人の介護や資金援助をしていた相続人の「寄与分」(遺産の特別枠)

  これも良く問題となり、「自分は親の介護をしたが、弟は何もしなかったから認められるはず」と考える方が多く見られます。 しかし、寄与は「比較(差額)」ではなく「特別の寄与」と言って「扶養義務」以上の貢献をしたことが条件で、その条件に合った主張立証をしないと認められません 寄与は裁判実務ではかなりハードルが高いと言われます。

C 賃貸マンションなど遺産から生じる家賃・地代収益
  これは本来は「遺産」ではなく、 資産の帰属が決まるまでは、各相続人が法定相続分に応じて当然に家賃・地代の収益を得る、というのが裁判実務です。 ただ、管理の問題もありますので、どのような管理、収益分配、請求を行うか、難しい問題があります。

これらの諸問題については、最近、東京家庭裁判所を中心に「運用基準」が設けられています。本人の判断だけでは難しいことも多いので、調停を起こす前、また調停中も、裁判所の運用基準に精通した弁護士への相談、依頼をすることが重要です。

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相続紛争の解決・・・家裁調停の活用

写真続が発生し,遺言がない場合,遺産を分けるには、相続人全員の合意が必要です。
話合いで解決するのが理想ですが,現実には,一部の相続人が強硬である,感情的になってしまう,などの理由から,逆にこじれたりする少なくありません。そのような場合,専門の第三者に入ってもらうことが一番です。
  弁護士依頼も選択肢ですが、費用が心配、いきなり弁護士を立てることに抵抗が在る場合などは、家庭裁判所の調停を活用することも考えてみましょう。
 
1 調停のメリット
 家庭裁判所の調停は,法廷ではなく,「個室」で調停委員が相続人各人から交互に言い分を聞き取り,円満な合意をめざす手続です。
 当事者同士が同席して議論をすることはありませんので精神的ストレスも少なく,公平中立な専門家のアドバイスを期待できます
 費用も安いのもメリットです。(遺産の額や相続人の数に関係なく,1件1200円の収入印紙と若干の切手代。この他に戸籍謄本,不動産登記簿謄本などの公的資料が必要です。)
合意が成立すると調停調書が作成され,不動産移転登記、銀行預金払戻しなどの手続きもスムーズにできます。
遺産分割調停の申立件数は年々増加していますが、その大半は遺産5000万円以下という統計もあります。 統計日本経済新聞(2014年12月28日)
 
2 調停の限界
 調停は、裁判所が関与するとしても、あくまで当事者の自主的合意が必要ですので、結果としてまとまらない(「不調」といいます)こともあります。
  ときには、調停を出せば「裁判所が何でも調べて決めてくれる」と期待する人がいますが、これは誤解です。
  また調停委員会は「中立」ですから、当事者の考えが明らかに法律上誤っているときはそのことを指摘しますが、逆に、当事者の一部に「より有利な方法」までを積極的に教えることはできません。 複雑な事件の場合は、弁護士を代理人として調停を活用することが理想的です。 この点は次回に詳しく説明します。


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遺産分割と相続税申告の期限

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1 遺産分割には期限はありません 
 

  相続人間で相続財産を分けることを民法では遺産分割といい、全員一致が必要です(遺言がある場合は例外) 
  遺産分割には期限はなく、5年後、10年後でも可能です。 また「一部分割」といって、たとえば、預貯金は早期に協議して分割・払戻をして、不動産については協議を先送りすることも可能です。 
  一般には、あまり長い間放置すると、関係証拠(通帳、領収証など)が無くなったり、相続人の一人が亡くなってその相続人に権利が枝分かれして、全体の相続人の数が増えていく、といったデメリットもありますので、長く放置することは好ましくありません。

2 相続税申告期限との関係
  一方、税法上は、「相続税の申告期限」があり、これは相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月です。 
 しかし、この期限内に遺産分割協議を成立させなければならないということではなく、協議未成立であれば 暫定的に法定相続分で分けた計算で申告を行います。そして、最終的に各相続人の取得分が確定した段階で、各自の負担すべき税額を清算することになります。 
  ときどき「兄弟から『10ヶ月以内に協議書を作らないといけないから早くハンコを押せ』と言われてイヤイヤ印を捺した」という相談がありますが、これは間違いです。 
 ただし、
 @ 財産未分割でも税金は払わないと行けませんので、資金の手当をしなければならないこと
 A 小規模宅地等の特例、配偶者控除の特例などの優遇措置の適用を受けられませんので納税額が大きくなること(遺産分割が確定した段階で適用を受けることが可能ですが、これには一定の要件があります。)
という不都合がありますので、この対策が必要です。 
 一般には、10ヶ月以内に遺産分割もまとまることが望ましいといえます。
 遺産分割と相続税問題は、常に弁護士と税理士のアドバイスを受けて進めることが望まれます。

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