前回、国税庁の相続税税務調査 統計実績を紹介しましたが、では、相続税を納めるのはどのくらいの割合でしょうか。
答えは、わずか5%前後。
だからといって、相続が関係するのは資産家だけと思っていると、それは大間違い。
相続は資産だけでなく、ローンも当然対象となります。例えば、親の借金を子供が一生背負っていくことにもなりかねないのです。
それを防ぐために「相続放棄」という方法があります。その注意点を3つ。
まず、3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てをすること。
申し立てをしないと、自動的に相続をしたことになってしまいます。
期間延長もできますが、いずれにしても申し立てが必要です。
3ヶ月以内に、悲しみにひたる暇もなく、親の資産・負債を洗い出さなくてはなりません。そう考えると、3ヶ月は意外に短いのではないでしょうか。
そして、誰しも借金は恥ずかしいもの。家族には内緒にしていると思った方がいいでしょう。相続放棄されるのを防ぐため、あえて取立てをしてこない債権者もいます。
また、保証も相続されるため、故人が保証人になっているかどうかもチェックが必要です。
実務的には調査が難しいのですが、借用証はもちろん、郵便物などの身の回りをつぶしていくしかありません。
2つ目の注意点は、相続財産に手をつけてはいけないこと。
家の現状維持のための修理、住宅ローンの引落し、葬儀費用の支払などの通常要する内容は問題ありませんが、家の売却はもちろん、土地の売却準備のために空き家を解体したり、不動産投資をしたりすると、「相続財産の処分」とみなされ、相続する意思があったものとして相続放棄ができなくなります。
生命保険金や遺族年金はもともと相続財産にあたらないので、使ってしまっても問題ありません。
最後は、相続順位の変更。
子供が相続放棄すると、祖父母が相続人になります。さらに、祖父母が相続放棄すると、兄弟が相続人になるのです。
つまり、相続放棄は子供たちだけで行えるのではなく、祖父母や兄弟までの影響を考えないと、迷惑がかかってしまう、つまり借金を背負わせてしまうということになってしまうのです。
事業不振や年収ダウンのケースが多くなっている現在は、より注意が必要です。
ただ、もし多重債務としても、直ちに相続放棄しなければならないかというと、そうでもありません。
過払い金が多額のために財産がプラスになるケースもあるためです。
過払い金の金額を知りたい場合は、弁護士などの専門家に相談されることをお勧めします。
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